コーヒーのある物語

5.おうし座流星群

「眠い?」とトモが囁いた。助手席で目を擦るヒロに、保温ボトルを差し出す。
「ありがとう。11月のおうし座流星群、絶対見たいから」
真夜中の高原へと続く山道。車のヘッドライトだけが闇を照らす。
「予報では、4時頃がピークだって」 「あと2時間か」
コーヒーの温かさが心地よい。標高を上げるにつれ、星空が鮮やかになっていく。
5.おうし座流星群 駐車場に着くと、すでに何台かの車が。同じようにおうし座流星群を待つ人々の気配がする。
「見て!」ヒロの声に振り向くと、夜空に光の帯が。おうし座から放射状に広がる星の雨。
「綺麗...」 二人の吐く息が白く混ざり合う。
数えきれない流れ星の中で、ヒロはトモの手を握った。願い事は、この瞬間が永遠に続くように――。
晩秋の夜気も、眠気も、もう気にならない。二人の心は、降り注ぐ星明かりで温かかった。

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