毎日はただの繰り返しで、さらに日常はその積み重ね。
ぼくは今日こそはと早起きを試みたけれど、毎日はただの繰り返しで、さらに日常はその積み重ねなのだから、と、安らかです。
たとえばコーヒーを、どんなふうに飲むか、を改めて思い直してみたとき、冷えたグラスに冷えたコーヒーを注いでみたり、家のすぐそばにある自販機で缶のものをガッチャンしてみたり、もうこんなに暑くなった部屋のなかでわざわざホットを淹れてみたり、さまざまな生活はこうやって、かんたんに広がるのかもしれなかった。
毎日はただの繰り返しですが、さらに、日常はその積み重ねですが、すこしずれた今の先には、道も未知ものびているようで、人生をまた、楽しもう楽しもう、とぼくは騒いでいます。
早起きがうまくできなかったかわりに、夜更かしを試みているのだけれど、思いのほか、うまくいきすぎてしまったので、夜はやっぱり優しかったし、まだまだ涼しいので、ホットがちょうど、沁みたりもするのだから。
さまざまな生活のなかで、感じることのできるすべての温度に、印をつけて、いつでもすぐに、思い出せますように。
文:山本こう太 絵:kaori