未来はすぐにやってくる。とか言ってる間にもう、さっきまでのいまは、未来にのみこまれてしまった。だから未来はすぐにやってくる。
みるみるうちに未来は、いまへと化す。
いまだ、未来だ、と口にばかりするけれど、どうでしょう、いまも未来も、気が付いたらごちゃまぜになってる。
未来もいつかいまになるし、いまだってはじめは未来だった。
いまも未来も、おなじようなものなんだよ。
過去だってそうだよ。
一瞬一瞬がおわっておわって、いまだったはずのいまは、あっといまに過去になってしまいました。
とか言いながらまた、過去を量産することしかできない。
さっきまでの未来はもう、いまに変わり、そして過去へと朽ちていく。
その流れは、なめらか。
ぼくたちは流されることしかできなくて、なんだか心地良い。
未来やいまや過去、そんな言葉で区切ることのできない時間の流れを、人生、と呼んでしまえたら、しずかに、前や後ろを、そしてじぶんを見つめてあげられるような。
儚いね。未来を羨んで、過去に惹かれて、いまを愛して。
みんな、流されていく。その姿はとても、綺麗だったと思う。
文:山本こう太 絵:kaori