こう太のコーヒーとか

88 手と手と

頼れるだれかがいる、から、強くも在れるものだ。
ぬくもりはきみのなかで生まれ、その手に通じ、この手に伝わり、ぼくのなかに届く。
ひとりではない、ということ。手を繋いでいてくれるだれかがいる、ということ。
強さ、が示すものは、ぼく自身の温度ではなくて、ぼくではないだれかからぎゅっと伝わってきた、そういう温度のことだ。ぬくもりを感じられるとき、ぼくは、強く在れるんだ。
助けて、と叫ぶのは、こわいですか。
もしかすると、だれにも、助けてもらえないんじゃないかって、不安な夜もありましょう。
それでも、助けて、と叫びたくなる夜、ぼくは、ぼくのなかにだれを、想い、描きますか。
あのひとやこのひと、よぎるだれかの笑顔を想って、繋がる手と手を想って。

88 手と手と 手を取り合えることの素晴らしさ、そして、大切さ。
この両手は空っぽでつい、寂しくもなるけれど、この両手が空っぽなのは、本当に助けてほしいときに、きみの手を握るため、だ。
寂しくて寂しくて、両の手を埋めようとばかり、想ってしまうのはもうやめて、こころのなかできみと、ちゃんと繋がっていられますように。
そして、繋いでいてくれたその手のぬくもりを、ずっと、感じていられますように。

文:山本こう太 絵:kaori

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