書くときあんまりなにも考えていないので、ほとんど手癖のようなものだけを頼りに文字を入力している、よって書くのかなり速いです。
これは自慢だった。
中学の作文の時間、いっせいに書きはじめて沈黙のなかだれよりも早く挙手をしたとき、え、あいつはっや、て思われるあの優越感がたまらなかった、とにかく速かった、速さだけを取り柄にしていた。
だからあんまりいちいち考えていない、指先だけで書いていることのほうがおおい。
だけども指先だってちゃんとぼくで、知っている言葉だけが放出され、すきな空気だけが放出され、ちゃんとぼくだった、もしかすると脳みそよりも心臓よりも、10本の指がぼくの正体で、たしかに書きあがったものを見たときにはじめて、ぼくってこんなこと考えてたんやなあ、とかおもうこともおおいです、それくらいに書くということが昔から、命のそばにありました。
さらに、本を読むのが嫌いすぎて、読書感想文がどうしても書けなかった、嫌いなことをしたくなさすぎて、じぶんで作った物語の感想文を書いたら先生に褒められた。
嫌いなことするくらいなら死にたかったけど、死にたくなかったからこんなかんじでずっと嫌なことを回避しつづけてきた、たぶんぼく天才、でもたぶんほんとは、ぼくを褒めてくれた先生が天才。
文と絵 山本こう太