だいすきなだいすきなだいすきなおとなたちがいて、ぼくはこどもだ、ながめているその角度はいつまでも見上げるようでいて、なのに背がのびた、きみとぼくはともだち。いつまでもいつまでもだいすきなおとなでいてほしくて、ぼくはときどきわがままを言ったり、こまらせて、どうしようもないくらいあまえたり、ぶあついむねにむかってじぶんをぶつけようっておもう、ぼくはそうやっていつまでも、おとなたちのことがだいすきなままだった。ことばではなくても、その目つきがすきです、ぼくはおとなになりたいと言うし、おとなになりたくないと言うし、それは、きみのその目をを真正面からみることのできるこの特等席のことがたいせつだったから。おとなたちのはじく、けんばん、ゆびさき、ちからがなんなのか、愛がなんだったのか、ためいきは抜ける場所をさがしてさがしてまた身体のなかにもどってやさしさになる。ぜんぶがおまじないだった。だいすきなおとなたち、ありがとう、ずっと。
文と絵 山本こう太